転校生と虚数世界/エピローグ

『mirage(ミラージュ)』

転校生は、魔法陣に手をかざし、声高らかに唱えた。
が、当然だが特に変化はない。

『なぜだ。何故なにも起きない!一体どこで間違ったというのだ!?』
『いや……まて。虚数世界の干渉という、起こるはずであった事象を食い止めた。
だから何もおきなくて当然なのではないか? そうに違いない、私は世界を救ったのだ!』
『ふっ、幻となった混沌、さしずめカオスミラージュといったところか』

転校生が自己解決し余韻に浸っている中、私には一つ疑問があった。
そもそもこの手紙は誰が書いたのだろう。

手紙は、塗装の剥げ落ちた画鋲でおさえた時間割の裏と、黒板上のスピーカーの中にあった。
手紙の主は在校生かと思っていたが、
もしかしたらもっと昔、旧校舎時代の生徒が残したものなのではないのだろうか?

ふと、第壱ノ書の裏表紙に書かれた名前に視線をおとした。
かすれていてよく読めないが、さすがにこんな中二病な名前の人はいないか。
いやまて、本名なわけがない。例えば、ローマ字にして並びかえると……

『おい! お前ら、こんなところで何をしている!!』
現れたのは生活指導のセンコー。
まぁ、日没後に施錠されているはずの旧校舎の電気がついているのだ、当然だ。

『お前ら、何勝手に旧校舎に入つ――!?』
近づいてきたセンコーは、私達の手元をみて足を止めた。
いやっ。正確にはフリーズした。その瞬間、私は全てを察した。

なるほど……『黒歴史がバレた時』に人はこうなるものなのか。
しかもその相手が教え子とは、先生にとっては不運としかいいようがない。

いつかきっと、転校生にも同じようなことが起きるかもしれない。
その時は今日の話をしよう。
なんてことを考えながら私は、
固まる大人ときょとんとしたやつを横目にゆっくりと帰り支度を始めた。

ーFIN-

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