まほうのとけたおかしなクッキング/エピローグ

アイスが固まるのを待っていると、先生がゆっくりと口を開いた。

君はアイスクリームのレシピを不思議に思ったことはないか?
手を加えればいくらでも凝ることができるが、こんなにも簡略化できるお菓子はそうない。
どこまでこだわるべきか、作り手を反映するお菓子であり、
こんなに難しいレシピはないと私は思っている。

お菓子は食べ物であり芸術作品だ。
パティシエである以上、味や見た目を妥協してはならない。
しかしケーキ屋のパティシエは、その先も考えなければいけない。
お店にくるお客さんは、自分のために買う人もいるが、
誕生日やお祝い、プレゼントなど、
『自分のため』だけでなく『誰かのため』に買いに来る人も沢山いる。

ショーケースに並ぶケーキは、君にとっては沢山の中の一つかもしれないが、
お客さんにとっては大切な誰かのための特別な、たった一つのケーキなんだ。

君のことだ、手を抜くとは思っていない。
だがお店をもつということとは想像以上に大変だ。
だからもし、周りが見えなくなったらアイスクリームを作りなさい。
そして今のように、アイスが固まるのをただゆっくりと待ちなさい。

大変なときこそ立ち止まり、深呼吸するといい。
きっと正しい道がみえてくるはずだ。

『大変なときこそ初心を忘れず、一つ一つを丁寧に』
それが私からの最後の言葉だ。
あらためて、開店おめでとう。

スッと口の中で溶けたアイスは、どこか温かみを感じるやさしい味だった。

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