天体写真の裏には、ロケットが描かれていた。
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『次のニュースです。
あらたに発見された太陽系第9惑星「ポケットプラネット」に対し、
探索ロケットが打ち上げられます。
冥王星の惑星から準惑星への分類以降、太陽系は8惑星とされていましたが、
歴史的大発見と、初の探索ロケット打ち上げということもあり、
その瞬間を一目見ようと、種子島宇宙センターには沢山の人が集まっています。
なお、ポケットプラネットへの接近は約150年後を予定しており、
今回の発見に対し、ポケットプラネットを発見した研究グループは……』
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高校を卒後した僕らは、
大学進学後も、ハワイの研究グループで星を観測し続けた。
「ついにロケット打ち上げの日かぁ」
「あぁ、そうだね」
「正直いまでも不思議に思うの、あの発見は夢だったんじゃないかって。
だってあんなに微細な変化よ。
自分で気付いておいてなんだけど、よく見つけたと思うわ」
それは、浮遊惑星《どの恒星にも属さず銀河を直接公転する星》の
観測をしている時のことだった。
「確かにそうだね。だけどそれは、君の愚直さのおかげだよ。
これまで取りためたデータと君の着眼点があったからこそ、
出力値異常に気付くことができた。
言っちゃなんだが、今みてもあの変化に気付ける気はしないよ」
彼女のとらえたものは、浮遊惑星でなく、
通称【プラネットナイン】と呼ばれる、幻の第9惑星だった。
「そのことは私も驚いてるわ。
データを見ると、そこだけぼんやり光っていたような、
どうしても気になったのよ。不思議よね」
「それはきっとあれだ、神様の仕業だよ。だって、宇宙は神秘的なんだろ」
青いキャンバスに白く美しい弧を描いたそれは、僕らの夢へと旅立っていった。
=good luck=
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