秘密の距離/エピローグ

『ずっと好きでした』
手紙の最後はそう綴られていた。

何度も何度も手紙を読み返した私は、ベッドに横になり枕を抱きかかえた。
私も真帆が好きだけど、きっと真帆が伝えたい好きは違う。

真帆のことを考えれば考えるほど、私の中のモヤモヤは大きくなっていった。

――いつからだったんだろう?
――どうして私なんだろう?

   *

小鳥の鳴き声に体をおこすと、カーテンの隙間から差し込む朝日で机のブローチが淡く光っていた。私は、制服に着替えブローチをつけると、いつもより早くいつもの交差点へと向かった。

横断歩道ごしの私に気付いた真帆は、目をそらしたまま渡るといつもより少し離れて立ち止まった。真帆の右手は肩にかけた鞄を強くにぎり、行き場をなくした左手は胸の前で強く握られていた。

「おはよう・・・」
ぎこちない挨拶は私たちの横を通り過ぎる車にかき消され、目の前にいるはずの真帆が遠く感じられた。
勇気をだし一歩踏み出すと、驚いた真帆は半歩さがりバランスを崩した。反射的に真帆の左手をつかみ右肩を支えると、15㎝の距離で目が合い2人の時間は止まった。真帆の顔はいつもより少し赤みを帯びていて、少しずつ大きくなるドキドキが、私のものなのか真帆から伝わるものなのかわからなくなっていった。

「真帆」
そう言って真帆の左手を強く握ると、真帆も強く握り返した。

↓思い出の1ページを残そう↓

タイトルとURLをコピーしました