持ち帰り謎(通信販売)

作品

秘密の距離
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『ごめん、消しゴムかして』きっかけは真帆からの一枚の付箋だった。真帆は、女の私でさえ思わず見惚れるほどの美人でクラスの人気者。そんな真帆と仲良くなったのは、席替えで隣になった次の日、あれ以来、私たちは一緒にお弁当を食べたり放課後や週末に遊ぶようになった。それから一年たった今日。いつもの教室にいつものクラスメイト、いつもと変わらない日常で真帆の様子だけがいつもと違っていて、お弁当の会話もぎこちなかった。無言の帰り道、分かれ道の信号が青になりいつもよりちょっと明るめに「また明日ね」というと、真帆は鞄から封筒を取り出しうつむいたまま差し出した。「これ…何…?」「開けないで!…帰ってから一人で読んで。」封筒をあけようとした私を制止すると、目を合わせることもなく、点滅し始めた横断歩道を走っていった。

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陽のあたる場所へ
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『秘密の場所を見つけた2人は永遠に結ばれる』 交際3年目を迎えた日、ぼくらは植物公園を訪れた。 一年中、様々な花が咲くこの公園には、ガイドブックには載っていない《秘密の場所》があるらしい。 「受付時間は10時ですね。こちらの懐中時計をもってお進みください。」 入園受付でパンフレットと懐中時計を受け取ると、秘密の場所を探し始めた。

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ポケットプラネット
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『知ってる?430年前の光なんだって。』 天文学部の第二の部室、満天の星がみえる高台。 北極星に向けて天体望遠鏡を設置していると、彼女は唐突に話し始めた。 「自分たちが生まれる前の光をみて、空に夢をみるの。 大人も子供も、言語や文化も関係ない、この星空をみて感動するの。 それってとても神秘的なことだと思わない?」 「実はね、私にも夢があるんだ。」 そういうと彼女は、とりためた天体写真を差し出した。

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まほうのとけたおかしなクッキング
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『はじめて食べたお菓子の味、覚えていますか?』 パティシエになって早幾年、私は長年の夢だった店を持つことができた。明日からの開店準備を終え一息ついていると、専門学校時代の先生が訪ねてきた。 「忙しい時に済まないね、君に作ってほしいお菓子があるんだ。」 先生は鞄からレシピをとりだした。

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黒に咲く華
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『愛しき妻よ、君のためにこの本を残す』 僕は、廃屋となった曽祖父母の家らしい場所を訪れた。“らしい”というのは、この家のことをつい先日知ったからだ。 曾祖母がまだ女学生だった頃、両家の反対を押し切り結婚したが、曾祖父は若くして結核を患い、曾祖母も追うように結核で亡くなったらしく、埋葬だけ行い、家は今の今までそのままだったとか。 そんな話を聞きこの場所を訪れた僕は、曽祖父の部屋でこの本を見つけた。どうやら、曾祖父から曾祖母へあてたもののようだ。ぼくは、曾祖母に代わり、書の紐をゆっくりとほどいた。

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転校生と虚数世界
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下校しようとする私の視線の先に『奴』がいた。 「やぁ。先日、封印されし古城(※旧校舎)を調査していたら不思議な手紙を見つけてね。解読を試みたんだが、どうやら私とは術式が違うようで、手を焼いていたところなのだ。」 『この手紙の封印が解かれたということは、時が満ちたということだろう。』 私は手紙の一行目で頭を抱えた・・・この手紙の主も『中二病』だ。 「さて、状況は理解できたかな?我々でこの世界を救うとしよう」 私はまた、彼の厄介ごとに巻き込まれてしまった。。。

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しあわせギフト
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本日はお忙しい中、私どものためにご列席賜り、誠にありがとうございました。ささやかではございますが、感謝の気持ちを込めお礼の品をお贈りさせていただきます。 昨今、カタログギフトや焼き菓子など多種多様にございますが、謎解きが大好きな皆様が喜ぶものはなにかと考え、私たちが結婚式の準備を通して学んだ事や、皆様への感謝の気持ちを謎にしました。ぜひ最後まで楽しんで頂ければ幸いです。 未熟な二人ではありますが、今後とも末永くお付合い頂けますようお願い申し上げます。

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にじいろカルテット

「ねぇ。音が見えたこと、ある?」 クラシックに興味があった僕は高校で管弦楽部に入部、そこで出会った同級生とカルテット(弦楽四重奏)を結成した。演奏会に向け、思いのほかいい仕上がりではあったが、僕らにはいつも、どこかかみ合わないような空虚感があった。 練習を終えたある日のこと。幼馴染のその一言に、僕の時間が一瞬とまった。 『おとがみえる?』僕が不思議そうにしていると、普段物静かな彼女は、ゆっくりと話し始めた・・・

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きらきら星

今日は、100年に一度の流星群がみられる日。 ずっと楽しみにしてたのに、朝からあいにくの雨。肩を落としていると、謎が好きな友達が一枚の手紙を渡してきた。 「ほらっ、これで元気出して。」

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転校生は中二病

「『はじめまして。』 と言うべきだろうか」 顔を上げると、今日うちのクラスにやってきた転校生が、手紙を片手に不敵な笑みを浮かべていた。眼帯に包帯。手の甲にはマジックで書いたであろう刻印のようなもの。そして今の口調。 私は知っている、彼は『中二病』というやつだ。正直な話、あまり・・・いや、かなり関わりたくない。 「実は今、この世界は崩壊の危機にある。なんとかしたいのだがボクだけでは力不足でね。キミに声をかけたというわけだ。どうだ?世界を救ってみたいと思わないかね?」 やはり、関わりたくない。 しかし、しかしだ。いくらなんでも転校初日で邪険にするわけにもいかないし、絵に描いたような中二病な彼に興味がないわけでもなかった。やっかいな事になりそうだと思いながらも、好奇心を抑えきれない私は、彼からの手紙を受け取ることにした。

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